おさない よろこび ウィリアム・ブレイク
まだ名がない
生れて たった二日(ふたひ)
では おまえを何とよぼう
あたいは楽しい
よろこび が あたいの名
ゆかしいよろこびよ おまえの上にあれ
かわいい よろこび
生れてたった二日の ゆかしいよろこび
ゆかしいよろこび とおまえをよぼう
おまえはほほえみ
わたしはうたう
ゆかしいよろこびよ おまえの上にあれ
『ブレイク詩集』(土居光知訳)。
子どもが生まれたときに知人が教えてくれた詩。たしか詩集も送ってくれた。あのとき生まれたばかりだった子どもは3歳になりました。
子どもはなぜか友川かずきが中原中也の詩を歌っているCDが気に入りで、「よごれっちまったかーなしみにー」とか、「あーあ、おまえはなにをしてきたのだとー」とか歌っていたが、私がもうかんべんしてほしくなったので、数日CDを聞かせなかった。それでも歌っているのだが、よくきくと、なんと「よごれっちまったたーのしみにー」と歌っているのだ。もう一回歌ってごらん、と何度歌わせても、「よごれっちまったたーのしみにー」。
笑ってしまった。きみのパパは、「汚れっちまったかなしみに恋の花咲くこともある」とうそぶく人だが、その息子は、「よごれっちまったたのしみ」という。きみたちといると、何もなくても人生は楽しいような気がします。
ゆかしいよろこびよ おまえの上にあれ