風が帽子を

 昨日は1日じゅう雨。こたつにもぐってうとうとしているのは、とてもしあわせ。だったが、「こら、おきろ」と子どもに起こされた。「ごはん、たべるねー」と催促する。なかなかうるさい現場監督なのだ。
 
 引き出しの隅から残り毛糸が出てきた。すこしだが、子どもの帽子ぐらいの分量はありそうだったので、薄い茶色、灰色、モスグリーンの三色つなぎあわせて編んだ。なんだかどんぐりの帽子みたいなのができた。布製のワニの指人形もあったので、帽子にとまらせてやる。子どもは「どんぐりのおぼうし」「わにのおぼうし」「けいとのおぼうし」などと言って、喜んではいるが、帽子をかぶりたいわけではない。
 ワイルドスミスの絵本に「とばせ、とばせ」というのがあって、風が帽子をとばす話、それをやりたいのだ、毛糸の帽子もそれ以外の帽子も、あるだけかかえて走りまわっては、「ひゅーっととばして」「ひゅーっととばして」と、あちこち投げてまわって、おおはしゃぎだった。
 
 「とばせ、とばせ」の絵本は、「かぜさんのいたずら」という言葉からはじまるが、竜巻はこわい。帽子をとばすくらいでかんべんしてほしいと思う。とはいえ絵本だから、帽子は月までとばされてしまうのだが。