コヒネガフラクハ

 「冀」という漢字。漢文の書き下し文なんかで、コヒネガフラクハ、と読み仮名がついていたりした。
 字書を引いてみる。白川静氏の「字統」によると、「キ ねがう こいねがう」「金文の字形は鬼形のものがその手足を披き、角飾をつけている形で、北と異とに分解しうる形ではない。」「その語義未詳」「怪異な神像を写している字」
 古い字は、ほんとうに鬼の形をしている。頭に2本の角があって、なんだか、アニメのバイキンマンに似ている、というとこわくもなんともなさそうだが、鬼は鬼である。
 この数日、「冀」の字が気にかかる。どうやら、コヒネガフ、という気持ちに行き当たってしまったらしい。
 
 鬼の前に跪いてもひたすらに冀いたいのは、家族の健康と無事故。なんでもない平和な1日を、また明日も迎えられること。
 
 小さな子どもをおいて、数年ぶりに海外にゆくというのは、思いのほかにストレスのかかることのようだ。