あいしてる

 雨。桜まだ、散ってほしくないが。
 
 子ども、ひとりでぶつぶつしゃべっている。絵本やらテレビやらビデオやら、たくさん暗記しているのだ。生活の場面でも、その暗記した言葉を言う。見当はずれのときもあるが、だんだん照準があってきている。
 夜いつまでもいつまでもいつまでも寝ないので、私もくたびれる、何日前か、「もう勝手にしなさい」と背を向けたら、背中からごそごそやってきて、「あいしてる」というので「へ?」と思わずふりかえると、重ねて、「きみをあいしてる」というのだった。両手で私のほっぺたをさわりながら。
 どこで仕入れた言葉だか、とてもとても正しく使えていると思って、おかしかった。
 
 子どもがやってきて「おなかすいた。ごはんをたべたい。おねが~い」という。ちゃんと言葉が言えている。なんだかすごい。おねが~い、は抑揚つき。
 ごはんつくろっか。