東京モノレール

 家のなかは、牛乳パックがごろごろしている。でも勝手に捨ててはいけない。ひとつひとつが「ぎゅうにゅうパックしんかんせん」で、ホームに止まっていたり、敷居のレールの上を走っていたり、するのだ。底を切り落として筒状になっているものは、トンネルで、小さい電車がそのなかを走る。
 台所のテーブルの裏面に、サランラップの空き箱をくっつけるようにして走らせていたから「なにしてるの」ときいたら、「とうきょうモノレル」なんだそうだ。東京モノレール。それで箱にビニール紐を通して、テーブルのまわりに紐を張って、箱には切れ込みを入れて四両編成にして、ぶら下げてやったら、かどを曲がるところがむずかしいのだが、うまくいくと嬉しいらしく、なんだか地道に遊んでいた。
 
 3歳半検診の問診票を書く。視力検査用の紙もあるのだが、むずかしくないかな。子どもはルールを理解しない。どっちを向いていようが、「C」は「シー」なのである。視力検査できず。
 悩みについての、選択肢のなかに、子どもの夜尿や昼間のおもらし、というのもあって、もうそんなことに悩まなければならない頃なのか、とすこし驚く。「トイレいや、オムツがいい」と言い張る子どもに、それはずいぶんレベルが高い悩みだ。
 この子どもにとっては、あたりまえのこと、あるいは私と子どもとの関係で自然なことが、ひとつひとつ「悩み」というものに変化させられていくようで、問診票書いているうちに落ち込んできた。ので、さっさと書いて封に入れて、考えないことにした。 
 
 忘れかけていたけど、マニラのバスジャック事件の続報。
 「マニラ市役所前で就学前の子供らの乗ったバスに約10時間立てこもった男がフィリピン政府などに無料教育の提供を要求した事件で30日、子供らの父母は、警察に投降したアマンド・ドゥカット容疑者の釈放を求めた。父母らは「警察本部前での抗議集会も辞さない」と訴えている。」(3月30日21時10分配信 毎日新聞
 目に浮かぶようだ。