700系しんかんせん

 義父母が墓参でそちらに行くので一緒にドライブをしようということになった。それで昨日の早朝、隣県から出てきた義父母と、知人の墓があるという、どこだか、ぐんぐん田舎のほうまで、行った。高速道路を降り農道に入る。農道も広々としてきれいである。知っているはずの道をなぜか反対方向に向かって義父は走り、迷ったあげくにようやく目的の墓にたどりついたとき、子どもはおもらしをしていた。おしっこがおむつからあふれてしまったのだ。がらんとした寺の駐車場で、ズボンをかわかした。あたりは人家もまばらな、春の田園風景。眠くなるようなのどかな景色。
 昼ごはんを子どもはあまり食べない。朝からずっと、ジュースや菓子を与えつづけているのだから、食べろというのが無理である。帰り、アイスクリームを食べたあと、焼き栗まで食べさせられたとき、ついに吐いた。外でよかった。大人は後始末にたいへんだが、吐いてしまった子どもはすっきり、飛び跳ねていた。
 
 そのあと、子どもは、ずっとずっとほしかった700系新幹線と駅のセットを買ってもらっていた。おもちゃはひとつだけ、という約束だが、そのひとつが、私なんか直視する勇気がないくらい高価だ。しかし義父母も、むろん孫も頓着しない。パパは子どもの頃に買ってもらえなかった恨みを解消しているのかもしれないが、どの玩具をどういう組み合わせ、どういう順番で買うかを指図しているし。おそろしい光景なので、私はその場を離れました。
 子どもはよっぽどうれしかったのだ、家に帰ると、いちごもケーキも食べず(おじいちゃん、まだ食べさせるつもりだ)夢中で遊んでいた。家に帰るおじいちゃんとおばあちゃんを見送ることもせず、夜寝るまで、ぴょんぴょん飛び跳ねながら遊んでいた。
 寝るときは新幹線の絵の新しいパジャマで、これまたしあわせそうなことだった。