ルリアンス

 河津聖恵さんの詩論集
 『ルリアンス 他者と共にある詩』(思潮社
 読了。

 現代詩の場所から、次のような言葉が出てくることに驚いた。

 「もう、中途半端な個ならばいらない。詩は苦悩する他者に同苦し、他者と歓びを分かつために書かれるべきものであり、自分のために書くしかない場合もまた、自分という他者の救済と歓びのために書かれている筈なのだ。たとえ不安や空漠感が描かれていても。」

 あとがきの文章だが、この率直さに感銘を受けた。思いがけない病に見舞われたことも書いてあるが、この率直にいたる経験のとうとさ。

 個性の尊重、という。でも「中途半端な個」の繁殖は、個の衰弱でしかなかったし、とても退屈。

 そう、「中途半端な個」はとても退屈。現代詩も?  短歌も?