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ちびさん最近、ひとりごと多い。私にも記憶があるけど、あれはたぶん、自分の言い方が気に入らなくて言い直しているか、喋りつづけていないと喋れなくなりそうなので言い続けているか、どちらか、あるいは両方だな。同じ言葉を、壊れたレコードみたいに繰り返してる。放送部の部活みたい。
言葉の表情は、なんとなくわかっているようで、「こんなにしあわせでいいのかしら」(出典、アンパンマンのまんが)というときはうっとり、「ぎをみてなさざるはゆうなきなり」(出典、論語の絵本)は、強く断定的に。
言葉の表情は、なんとなくわかっているようで、「こんなにしあわせでいいのかしら」(出典、アンパンマンのまんが)というときはうっとり、「ぎをみてなさざるはゆうなきなり」(出典、論語の絵本)は、強く断定的に。
ひとりごと言う子は、黄色い車につれていかれるよ、と、昔祖母に脅されたもんだった。つれていかれると、檻のなかに閉じ込められて、もうお家に帰れないんだそうだ。それで、通りに出たら、黄色い車に見つかるかもしれないから、通りには出ないように、通りから見えないように気をつけながら、祖母の家の脇の暗い通路を、行ったり来たり行ったり来たり行ったり来たりしながら、しゃべりつづけていた。
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テレビのコマーシャルで「人間は一人では生きられない」と言っていたら、テレビに背を向けて日本地図のパズルをしていたちびさん、突然顔をあげて「そのとーりー」と叫ぶ。
そりゃまあ、そのとーりーなんだが、なんかもう、おかしい。
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