山頭火の露天風呂

 遊びに来んか、と義父から電話がかかり、じゃあいまから行く、と水曜の夜、山口まで行く。
 翌日、みんなで下関の北のほう、川棚温泉まで遊びに行った。
 http://www.kgh-otafuku.co.jp/docs/2natural_spa_santoka.html
 瓦そばがおいしかった。
 熱い瓦の上にそばがのっていて、すこしかりっとしたのを、つゆにつけて食べるんである。
 
 種田山頭火ゆかりの土地らしく、露天風呂の名前は山頭火
 風呂の壁に、山頭火の句があれこれ書かれていて、それが、デザイン的にもすっきりした活字で、妙にさわやかに胸に届いてくるのだった。
「花いばら、ここの土とならうよ」
「大楠の枝から枝へ青あらし」
「どうでもここにおちつきたい夕月」
「まつすぐな道でさみしい」
「わけいってもわけいっても青い山」
 風呂に入るのに靴下を脱ぐのをいやがったちびさんだが、はいってしまうとご機嫌で、露天風呂で鼻歌なんか歌って、「ゆくかわのながれはたえずしてぇしかももとのみずにあらずぅ」と放吟していた。午後の日差しがゆれて、足もとにかまきりがいたりして、昼間っから気持ちのいいお風呂だった。
 
 それから日本海まで出て、釣り堀で、大きな鯛を釣って帰る。釣りなんて子どものころ以来だ。3800円の鯛。晩のおかずは大皿に山盛りの刺身と潮汁。るん。
 
 夢のなかでも海のあたりをうろうろしていた。子どもの頃、釣り好きの叔父に連れられてときどき近くの海に釣りに行ったが、どうして叔父さんばっかり釣れて私は釣れないのかと、悔しいばっかりで、釣りを楽しいと思った記憶もないのだが。
 ああ、釣りをしたいなあ、と思った。