ピラトゥス登山鉄道

「ぴらとすとざんてつどうをかいたの」とかいた絵をみせて子どもがいう。それなに?と思う。
世界の車窓からなの」と言う。それでようやくわかる。
「ピラトゥス登山鉄道」らしい。
 
私は何度教えられても、DVDのかけかたを覚えられない。いろんな機械とつながっていて、リモコンがたくさんあって、どのリモコンのどのボタンなのか、何がなんだか。
なのに3歳のちびさん、おそれげもなく、勝手に(いつのまにかパパが買っていたらしい)「世界の車窓から」のDVDをかけて、しあわせそうなことだった。第1巻はスイス登山鉄道。これが地図。
ピラトゥス登山鉄道は、世界一急勾配のところを走るんだそうです。
すごいね。
 
それにしても、こわくないのかしらん、と思う。
私は機械が嫌い。だいたい、テレビのリモコンを使うのも緊張する、チャンネルは変えられるが、録画なんてできない、のだから、あとは推して知るべしで、ほんとうは、レンジも洗濯機も掃除機も、要するに家電いっさい苦手、パソコンも使えるようにはなったが、きまりきった使い方しかしない。
なのにちびさん、おそれげもなく、パソコンも使いたがるし(すでに一台壊して叱られたが、そんなことで懲りない)、CDもDVDも自分で操作する。信じられない。
 
パソコンに、百科事典とか日本の美術とか、いつのまにかパパが入れているんだが、私はひとりで開く気力がない。なのにちびさん、正しく法隆寺の写真を開いて、「ママ、奈良県は、かきくえばかねがなるなりほうりゅうじ、なのよ」などと言う。どうしてそれが法隆寺だとわかるんだろう。どうしてそのページを開けるんだろう。
 
掃除機の音を嫌うあたりだけは、私と一緒で、うちでは、パパが掃除機をかけるときは、私とちびさんとふたりで、一番遠い部屋まで逃げる。