桃太郎と金太郎

「ママ、ももたろうはね」と、ちびさんいきなり話し始める。「おかやまから、しものせきまではしるのよ」
桃太郎って、そういう話だっけか? きびだんごもって?
「このあいだ、みたでしょ」
「えっ。見ないよ」
「はしってたよ」

「それからママ、きんたろうはね」と話題が変わる。「ほっかいどうまではしるのよ」
北海道までって、あしがら山から? 熊と?

ちびさんが話すからには、出典があるはず。
「それ何の本にのってたの?」

見せてくれました。列車の本に写真が並んでのっていた。JR貨物車桃太郎。岡山が拠点です。JR貨物車金太郎。北海道まで走る力持ちです。

そういえば、桃太郎も金太郎も読んでやったことはない。
ということは、ちびさんの頭の中に、きびだんごをもって、犬や猿や雉を連れて鬼が島に侵略にいく桃太郎はいないし、あしがら山で熊にまたがる金太郎もいない。

桃太郎も金太郎も、最初から貨物列車の姿なわけだ。

なんか、言葉が違う引き出しに整理されてしまったような、へんな気分。


ちびさん、幼稚園で、制作、にはまっているらしい。
毎日、あれこれの作品を抱えて帰る。空き箱や空きパックやあれこれの紙屑をセロテープでべたべた貼りつけた代物。
「何つくったの」ときいたら、「うーん、なにかつくったの」。
なにか、であるということは、ごみ、ではないということなので、まだ捨てられない。毎日どんどんたまっていく。

燃えるごみ(失礼!部品)と燃えない部品をくっつけていて、分別が面倒だなあ、と思う。

おでこに痣ができているのは、またどこにぶつけたんだか。