中耳炎

熱の出方がなんだか変である。
昨日の朝、音楽教室お休みさせようと電話をしたら、「いやだ、ぼく、いくの」と泣く。微熱程度だったので連れていくが、そのあとまた熱があがるし、もらった粉薬が水で溶いてもどうしても飲めないしするので、午後いつもの小児科に連れていく。
ちびさん、口とか耳とかに、医療器具をさしこまれるのがきらいである。耳をのぞかれるだけなのに、「ぎゃああああ、やめてちょうだいいいい、やめてっていってるでしょうううううう」と大泣き。医者さん、「いいえ、やめません」と言いながら、血液検査もしておきますね、と耳たぶから血まで吸いあげた。生まれたときからそうなのだが、ちびさん白血球が多い。あいかわらず通常の倍くらいあるみたい。

急性中耳炎でしょう。両耳とも。紹介状書きますから、すぐに、耳鼻科へ。
「切開すると思いますが、この調子だと大変でしょうねえ」と医者さんたち笑う。

ということで耳鼻科へ行く。ちびさん寝たふりをして車を降りないとか、いろいろ抵抗を試みる。はじめての病院じゃあるし、耳は、さわられるのさえ泣くほどきらいなのだ。待合のロビーから一歩づつ一歩ずつ、玄関のほうに逃げてみたが、外に出るのはためらわれて、入口にしゃがみこんでいる。順番がきて連れに行くと「ぼくは、きょうはつまんないことばっかりだ」と泣く。「人生なんてそんなもんだよ」とパパが答える。

耳鼻科の問診は、自閉症の問診と少し似ていた。「名前をよんでも振り返らない。はい。いいえ。」はい、です。それはもう、ずっと前から。
しかし、聞こえなくていいような小さな声まで聞こえたりする。
幼稚園に行きたがらない、機嫌が悪い、甘える、など、最近のちびさんにあてはまる項目は、自閉症のせいなのか中耳炎のせいなのか。

診察室に入ってからは、泣くわ暴れるわ、とんでもないのだ。看護師さん5人がかりで抑え込んで、治療する。「やめてちょうだい。やめてっていってるでしょううううう」「みみにそんなもの入れたらあぶないじゃないかあああああ」「みみにはさみいれたらだめなんだようううう」「そんなのだめでしょう、ちがうでしょううう」「ぼくはかえりたいよう。かえるっていってるんだよううう」と、泣きながら暴れながら、文句言い続け。
女の医者さんだったが、手際よく耳に穴あけながら、「この子はちいさいのに、まあ、しっかり理屈を言うねえ。家でもおもしろいでしょう」と笑う。ええ、まあ、面白いねえ。
力ずくで抑え込んでいる看護師さんたちも笑っているし、私ももう、不憫を通り越して面白い。
きみはたいした子だよ。

「こういう子どもは、薬を調合するところを見せてはいけない」とアドバイスされる。たしかに、味で飲めないのではなくて、気持ちで飲めないんだと思います。

ちびさん「きょうは、ぼくはつまんないじんせいだ」と怒っている。そんなに悪いことばっかりでもないよ。パパの誕生日だし、ケーキ買って帰ろう。

月曜日、また診察に行くが、ちびさん、今日のことを思い出しては泣き、月曜日にまた診察に行くことを考えては泣く。月曜で終わらないな。もっと通うよ。
私も小児喘息あったし、中耳炎もやったし、病院に通いつづけの子どもだったけど、ちびさんもよく病院に行くなあ。

それにしてもありがたい乳児医療費免除。保険のない子どもはどうするのだろう。たとえ親が保険払ってなくても、子どもの医療費は援助すべきと思うわ。でないとこわくて病院に連れていけない。むろん療育も。