魔法の柱

今朝も雪。
幼稚園バスが坂道のぼってきてくれないというので、15分かけていちばん下まで降りていく(いつもは途中まで10分だけ降りる)。渋滞だったらしく、さらに15分遅れのバスを待つ。
雪の上を車が通ったあとが、線路に見えるとちびさんがいい、電車ごっこしながら歩いた。

坂を下りたところの角の散髪屋のくるくるネオン。
小さい頃、たぶん幼稚園より前くらい、これは私には魔法の柱だった。見ていると心が吸われていくような強烈な経験をさせてくれた。これを見ると、金縛りにあったみたいに、その前から動けなくなってしまった。こんなに不思議なきらきらと美しいものがあるなんて。それはもう魔法の世界の入口に違いなく、なのになぜ、店に入ると、ただの散髪屋でしかないのか、納得いかなかった。
ちびさん、どこへ行くのもたいてい車なので、歩いていて突然、こんなものに遭遇するという経験をすることがなかったからなのか、今朝せっかく店の前を通るからと思って、見せたが、たいして興味も示さなかった。(夢中になられてもこまるのだが)。

魔法はきっと雪みたいなもので、とけるときがくる。小学校の通学路に散髪屋ができたとき、くるくるネオンを見ても、もうなんとも思わなくなっている自分を発見したときの、激しい失望感を、今も思い出せる。