7+8=16

「私のなかにある罪が〈われ〉と言わせるのだ。
 7+8=16と言うなら私は間違っている。ある意味で7+8=16とするのは私だ。だが、7+8=15とするのは私ではない。
 真なるもの、美なるもの、善なるもののすべてにわれは不在である」
            ヴェイユ「カイエ」1巻

ヴェイユのこのような断言に触れるのは、何かしら、とても清々しくなる。自分のみじめな正当性を言いたてて、この世の位置を許されたがるような、心根のあさましさを、こそぎ落とされるようで。

われは不在である、という。だが、ここにあるのは〈棄私〉程度のことではない。「罪」に対する積極的な勇気、に着目するべきだ。
おおかたの〈棄私〉は、エゴイズムを放棄するようでありながら、オウムであれ、テロリストであれ、罪に対する鈍感と無関心と無責任を伴ってしまう。

(7+8=16、と読んで、すぐにそれが間違いと気づかなかった自分に、やや呆れた。)