亡霊

むかし一緒に暮らした猫たちの写真が届く。

また別のところでは、むかし、書いたらしい何かの原稿が(14年くらい前だよ。なんで持ってんのよ)、本人はもうそれが何かを思い出せないのに、今ごろになって、他人の手から手へ渡り、え? 本当に覚えてないの? こういう内容だよ、と聞かされる。

人生の恥はかきすて、書き捨て、
書くことの効用は、忘れられることだと思っているんだけれど、書いたらそれで、安心して忘れられる、身軽になって明日へゆける、ことだと思っているんだけれど、

遠い地層から、こうして亡霊のようにあらわれてくると、
(それが、尋常ならざる日々だったからなのか)

うわああああああ、
うろたえる。

私、推理小説とか犯罪小説とか、こわくて読めないんだけど、過去が暴かれる感じって、こんなかな。

別に悪いことはしていない、していないと思うけれど、

うろたえる。