夕焼けをつくる

ちびさん、いろんなことができるようになった。(つもりでいる)。
「ぼく、1500キロメートルも、はしれるようになったんだ!」
500メートルも歩いたら、つかれたの、と泣くひとが!
主語は、ぼく、ではなくて、電車か何かだな。たぶんね。

「ママ、ぼく、かみなりつくりたいんだ」
雷?
「それから、たつまきもつくるんだ」
竜巻?
雷なんか、毎日、パパとママに落とされてるだろうに、これ以上私はいらん。竜巻なんかきた日には、このボロ屋は壊れてしまうよ。

やがて出典があきらかになる。天気予報が好きな子どものために、友人が小学生向けの「天気のしくみ」という本を買ってくれた。そのなかにペットボトルのなかで雷や竜巻をつくる実験が載っているのだった。簡単な理科の実験である。
私、理科の実験、きらいだった。
「そういうのは、小学生のお兄さんになってからやりなさい。難しくてまだできません」
と言ったら、いったんは諦めたかと思ったが、
「ママ、これならかんたんだよ。夕やけつくろうよ」
と、別のページをひらいてきた。

つくりました。
ペットボトルのなかの夕焼け。
大きめのペットボトルに水を入れて、牛乳を数滴たらして濁らせて、懐中電燈をペットボトルのおしりのほうからあててやると、ペットボトルの口のほうの水がオレンジ色になります。

夕焼けのしくみを、私ははじめて理解した。

でも、いちばんみごとな夕焼けは、公園の遊具から落ちて、ほっぺたに青あざつくって、痛みより何よりショックで、目の下に赤いじんましん、さらに泣き続けたせいで、涙にかぶれたようになっている、きみのほっぺただ。

今日から新学期。
クラス替えはたぶん幼稚園の配慮だろう。ちびさん、クラスも先生も変わらず、仲良しのそお君も同じクラス。
今年は特別支援の先生もいるみたいだ。加配があるといいなあと思う子が、去年もうちの子を含めて数人はいるような感じだったから、よかった。