新しい家

近所に新しい家が建っている。家のかたちもできてきて、もうそろそろ完成じゃないだろうか。柱が立ったね、屋根ができたよ、壁ができたよ、窓が入ったね、などと言いながら、毎日子どもと眺めていたのである。
幼稚園の帰り「ぼくもあたらしい家がほしいなあ」とちびさん。
「うーん、あたらしい家をつくるお金はないなあ。お金、たくさんいるんだ。家をつくるのはさ」
するとちびさん、「ぼく、お金いっぱいあっても、あたらしい家なんかいらないんだ!」
やや、涙ぐみながら、言うのである。
「ぼく、あたらしい家なんか、もったいないから、いらないんだ!」

いや、そんなむきにならなくても。
そりゃ廊下はしずむし傾いてビー玉ころがるこの家もすてきだと思うけどね。汚れても破れても平気だし。

最近、万事この調子なのだ。
スーパーで、ときどきパパが買ってくれる(私は絶対買わない)玩具のついたお菓子を買ってもらえなかった。すると、パパがスーパーに行くときに「パパ、ぼくのをかってきちゃだめだよ! ぼくいらないんだから」とわざわざ言う。

ママと一緒にお風呂に入ろうと思っていたのに、パパと一緒に入らされると、「ぼくは男の子だから、パパとおふろにはいるんだ。これからもずーっとずーっとずーっとパパとはいるんだ。ママとははいらないんだ」。

だからっ。そんなにむきにならなくても。
そんなこと言ってると、もともとの気持ちが何だったかわかんなくなっちゃうよ。私みたいに。残念だなあ、また今度。って思ってればいいんだよ。

似てるのだ。もうほんとに似てるのだ。私に。
ああ、どうしよう。


ちびさん、パソコンのペイントでお絵かき。新しい家、またつくってくれました。