・・・・・滴

土曜の夜、山口の義父母のところへ向かったのだが。
もうすっかり元気で、土曜の午後は近所の小さい子とおおはしゃぎで遊んでいたちびさん、走行中の車のなかではよく眠っていたのだが、サービスエリアに入ったところで、いきなり吐く。
すごい勢いで吐いた。(夜で客が少なくてよかった)
ぞうきんやら洗剤を借りて後始末して、外で着替えさせていたら、また、ものすごい勢いで吐く。(私の頭の上に吐くんである。帽子をかぶっていてよかった)
帰ろうか、と思ったが、もう山口に近く、ちびさんもおじいちゃんちに行く、と言い張るので、そのまま行く。
みるからに具合悪そうである。
なのに、おじいちゃんちに着くなり、おじいちゃんに、在来線を走る新幹線があるのだ、それは東北のほうのどこを走っているのだ、とか、せっせと喋りだす。

ちびさん、プラレール秋田新幹線とかがほしいのだった。

翌朝になっても吐き気がとまらない。水を飲んでも吐く。幸い休日診療の小児科が近くにあり、つれていく。
ウィルス性嘔吐下痢症。

点滴する。これがまた。
近所の小児科で、小さい子が点滴されて泣くのを見て以来、点滴、という言葉だけで、泣き出す子である。なんにもはじまっていないのに、「ぼく、いやなんだ、ぼく、いやなんだ」としがみついて泣く。
お母さん向こうに行っててください、と看護師さん言うので、見ないですんだが、大泣き大暴れの気配。「やめておくれよ。さきのとがったのはいやなんだよ。」とかとか叫び続け文句いいつづけ。離れて聞いてると、かわいそうを通り越して、おもしろい。
腕を板に固定されてようやく静かになった子を見守ること30分。ちびさん20分までは我慢できたが、最後の10分は泣きべそだった。

午後になってようやく、吐き気がおさまる。水とお茶だけ飲む。
おばあちゃんが粥をつくってくれたが、
「おばあちゃん、ごめんね。ぼく、たべられないんだ」
などと言って、まありっぱな言い方ができると、感心してもらっている。
熱もでてきて、ふらふらしているのに、おじいちゃんに、「ドライブにいこうよう」などと言う。気分転換にこのあたりをまわるぐらいなら、とおじいちゃんは思ったらしいが、なんの、おじいちゃんを誘って玩具屋にいきたいのだ。
「きみは病気だから、みんなにうつすから、町には行かないよ、もちろん玩具屋も行かないよ」と私が言うと、泣き崩れる。
やっぱり。そんなことだと思った。

泣かしておけばいいものを、しょうがない、新幹線はパパが買ってきてあげるよ、などとパパが言うので、いきなり機嫌を直して、タオルと洗面器もっておじいちゃんと車にのって、田んぼの中の鷺など見て、帰って来た。

一日なんにも食べず、寝たり起きたり寝たり起きたり、して寝た。

今日は、朝りんごを食べた。熱はすこしある。
新しい新幹線は手に入れたし、ちびさん、もう起きている理由はないとばかりに、りんご食べて眠っている。

病状はまあまあ順調に推移しているかな。
ああ、くたびれた。
まだ数日かかるだろうなあ。

日曜日、福岡に遊びに行く予定だったが、また今度。
「ママ、福岡はきょうははれだよ」と今朝ちびさん言うが、行きませんっ。
夕方、広島に帰る予定。