海を走る

こないだ幼稚園に行ったら、
「りくちゃんがいろんな話をしてくれるんですけど、難しいんですよ」と教頭先生が言う。
もしかして、船の話でしょうか。
「ええ、そうそう、船の話です」
最近、夢中なんです。船。何話してるか、私もわかりません。
「本を読んで覚えるんですか」
本とDVDです。

ええ、わかりませんとも。「しんかい6500」の話なんて。
深海6500メートル潜るらしいんですが。
10000メートル潜るのも、あるらしいんですが。



船と飛行機のDVDに夢中になっていたところに、「崖の上のポニョ」なんか見たのだ(映画館でおとなしくしていられると思えないので、DVDになるのを待っていた)。
ポニョ、最初は海の場面がこわいといって、部屋から逃げて、最初と最後だけ見て、見たことにしていたのが、2度目からは怖くないらしく、毎日見ている。
2歳のころに「トトロ」を見せたときは、いつのまにか全部のセリフを覚えていて驚かされたが、「ポニョ」もなんだかすっかり覚えていて、牛乳パックの船なんか抱えて遊んでいる。
毎日、ハムとラーメンを食べたがるし、私をポニョに見たてて、いきなりバスタオルをかぶせて、ぬれていない体を拭いてくれたりする。
それでもって「だいじょうぶだよ。ぼくがまもってあげる」だと!!

たのむぜ!!

DVDを途中で止めてはせっせとお絵かきしているのは、「絵コンテ」なんだと。嵐の海で船が踊っている絵ばっかり、毎日何枚もかいている。

「ああ、崖っぷちのポニョか」
とそれを見てパパが言うんだった。
「りく、ごめんな、崖っぷちのパパなんだ。家はボロだし、金はないし」

まあね。崖っぷちでもなんでもいいわ。
海の上をポニョが走ってくる音がすばらしいね。