蜘蛛の家

気がつけば、秋の空、秋の草、秋の匂い。
庭に出ると、秋海棠やらシュウメイギクが花盛り。
手入れしないので、蜘蛛の巣もいっぱい。
かすかに、金木犀の香もする。すこし咲きはじめたか。
夜は向かいの森で、虫たちが大鳴きしている。

この連休に掃除する予定だったが。(すでに過去形)
もう、何をどうすればいいか、わからんの。

部屋の片隅に(といっても、たっぷり畳半畳分)牛乳パック空き箱空きパックがぐちゃぐちゃ積んであって、ゴミとしか見えないが、ひいき目に見ても難破船の集積場だが、ちびさんにはれっきとした港、そこへ昨日、牛乳パック6つ使った大型豪華客船が入港して、それみたとたん、掃除する気をなくした、私。

やがて港から船たちが出港して、たくさんの船に取り囲まれた陸地では、毎日毎日、電車の路線や道路やビルがつくられて、足の踏み場もない。ちびさん、新しい街をつくり街をつくり街をつくる。

「ママ、こんな街に、ぼくと一緒に住んでみたいと思わないかい」と毎日毎日、飽きもせず誘ってくれるが(「住まないよ」などと言ったら、しくしくしくしく泣き出して面倒なのである)、すわることも寝転ぶこともできない街である。

庭では、蜘蛛が空に家をつくっている。
えらいなあ。