お城山

27日日曜日。
朝、お城山にのぼる。おばさんは階段が無理なので、商店街で、どっか喫茶店にでもいるわ、ということにする。
お城は山の上にある。ちびさん途中で、疲れたとか抱っことか言うかしらと思ったけど、けっこう頑張ってひとりで登った。
お城の白壁は、昔、補修工事のときに、私の父や叔父たちも参加して、塗ったのだ。
きみのおじいちゃんがお城の壁を塗ったんだよ。
と、ちびさんに言いながら、本当のことを言っているんだが、なんか嘘を教えているような、妙な気持ちがする。
急な階段がこわいので(私が)天守閣にはのぼらない。

まあ、商店街のさびれたこと。適当な店もなければ、日曜なのに人も歩いてないわよ。どうしたこと。
山を降りると、おばさんが待っていてそう言った。
商店街のみならず、駅前の通りだって、大きな土産物屋がつぶれているし、小さな土産物屋の商品の上には埃がうっすら積っていたりするし、ある一角は、絵にかいたようなシャッター街
たいした寂びれ具合ではある。

それから墓へゆく。Fおばさんの義母の墓。義母が死んだときに帰ってこれなかったし、おじさんはもう遠出できる体ではないし、墓がどうなっているか、気になっていたのだという。
ビルみたいだねえ、とちびさんが言う。死んだ人の家だよ。

それから宿を探しにゆく。おばさんの部屋は、体調の心配もあるので、前日まで予約せずにいたら、泊まるホテルに、もう安い部屋がなかった。それで、駅のホテルには私とおばさんとちびさんが泊ることにして、パパひとり、別の宿を探すことになった。

つづく