ゆめのなかにきえた

子どもの遊び相手を、まじめにしていると倒れてしまう。
しかもちびさん、待つとか妥協するとかが、難しい。
ママは今手が離せないのだ、とか、忙しいのだ、とか言ったって、自分の望んだ答えでない答えは、耳に入ってゆかないのだ。
実力行使しかない。つまり、相手にしない。

すると考えるらしい。
「あと5分したらあそぶんだよ」と譲歩してくる。
「あと30分したら」
「だめー、じゃああと10分」
「あと20分」
「えー、あと15分」
「わかった、あと15分」
だいたいこの程度の妥協なら、(泣いたり怒ったりするのをこらえて)できるようになってきた。
その15分の間、じっとしていられるわけもないので、何かして遊び出す。すると30分や1時間は経つのだった。うまくいくとそのまま忘れてくれる。

さて、相手にしてもらえないちびさん、電報ごっこをはじめた。
「ママ、電報でーす」と紙に文字を書いて届けにきた。
「ひゃくまんドルがゆめのなかにきえました。」と書いてある。
???
ひゃくまんドルなんて、わかって書いているとも思えないが、たぶん、トムとジェリーあたりが出典だろう。

ひゃくまんドルなんて、そんな実感のないお金は存在しないも同然、どこに消えようがかまわないが、ゆめのなかに消えてしまって、妙に腹立たしく、悲しいのは、今度の政府が凍結した補正予算のひとつ、36000円の子育て支援金。
3~5歳の子どもに、ひとり36000円の給付金が、この12月にももらえるはずだった。知らなきゃよかったのに、知ってしまったので、小学校の入学準備がそれでできるだろうと私はあてにしていた。
ゆめのなかに消えてしまった。

悲しいから考えまい、忘れようと思っていたのに、こないだ義母さんが、孫に服を買ってやれとお金をくださったので、それを私たちのポケットに入れるわけにもいくまい、ちびさんの服を買いにデパートに行ったら、ランドセル売っていて、36000円という値段がついていて、思い出してしまって、ああまた、いきなり悲しい。
ちびさん、ゆめのなかに消えたのは、きみのランドセル代だよ。

しかし、ランドセルってそんなに高いのか。値引きしてその値段。1万円くらいでなんとかなると思っていたけどな。
6年間使うと考えたら、そんなに高いわけでもないのかな、でも、このほかに制服代とかもいるし、もしかしたら、子どもを小学校に行かせるって、貧困家庭には、えらくしんどいことではないだろうか。

いくらいるんだろう。全然準備してないぞ。

36000円の支給は、無駄なのか。
ほんとうに無駄なのは、中止になったことで、意味がなくなった支給のための準備費用だと思うけど、まあいいや。忘れよう。
もともとゆめのなかの話だったのだ。
埋蔵金なんていくらでもあるって、亀は言ってなかったか。たぶんそれもゆめの話だったんだな。来年からはじまるという子ども手当がゆめの話にならなきゃいいな。)

服、バーゲンのパジャマとトレーナーだけ買った。週末に義父母のところに行くので、この服買わせてもらいました、と言えるためにね。
今年はぶかぶか、来年ぐらいでちょうどよくなって、うまくいけば再来年まで着れるだろう。
残りのお金は私の秘密の財布に隠しました。内緒だよ。

ちびさん、牧場アプリにはまったので(1日2回、15分~30分程度、パソコンで遊びます)、収穫物売るときに、足し算の筆算を教えたら、暇つぶしに、自分で勝手に問題つくって解いている。
18578+11515=29093
繰り上がりひとつ忘れたね。正解は30093
17159+81578=98737
おお、あっている。
 
今日もねずみくんのチョッキ着ていった。