ながい旅

早朝6時は暗い。7時はぼんやりあかるくなる。
雨がふりそうかふりそうでないか微妙なところだが、傘もって子どもと家を出る。霧のなか、旗当番なので、一ダースばかりの小学生をバス停まで送っていく。とちゅうで雨がぱらっときて、2年生のKちゃんが4年生のMちゃんに、「Mちゃんが雨降らないっていうから傘もってこなかったのに」と怒る。Mちゃん、頭のなかの旋律をおうのに集中していて、かまわずに歌うたってる。
1年生のYちゃんは、若いのになんだかおばさんである。「りくし、かさのもちかたがへん」。呼び捨てられたりくし、ぽかんとしている。

そいで明日から冬休み。この数日あれこれともって帰ってる。お手玉とかコマとか、縄跳びとか。それで私は昨日からコマまわしして遊んでる。昔特訓したかいあって上手にまわせる。ふんふんいい気分だ。子ども、紐をまいてやると、2回に1回ぐらいはまわせるようになった。
問題は、なわとびだ。なわとびのチャレンジカードのようなものをもらってきてるので、家で練習しろってことなんだろうが、させてみて、絶望的な気分になった。とぶ、どころでない、なわがまわせないのだ。なわをくるくるまわす、というなんでもなさそうなことが、嘘みたいにできない。なわにからまったり、体ぶつけていたかったり。
とべない子どもでしたから私も。なんとなく身に覚えのある景色なんだが、さて、自分がどこでどうしてとべるようになったかという、肝心なことが思い出せない。

これも、ながい旅になりそうだねえ。

ながい旅というのはゆうべ、子どもが言ったのだ。
昨日、学校から帰って宿題にとりかかったのが、4時。書写の文章6行ほどと、漢字20個ほど書くだけの宿題が、終わらない。私が横で見ている間は、漢字の一文字も書くが、集中がつづかない。本読んだり絵をかいたり車を並べたりをはじめて、見に行くとなんにもすすんでない。で、ようやく終わったのが7時。
そいで、「あー、ながい旅だったねえ」と感慨深そうに言うんだった。

あー。
ながくもないんだろうが、みじかくもない冬休みが、宿題といっしょにやってきた。宿題といっしょに!