坊ちゃん

「ぼくもうその本読んだ」って息子が言う。
うそー、と思う。ゲームをやりたいから、宿題もすんだし、本も読んだし、もうすることがないんだって、言うつもりなんだなと思う。
ところが。
読んだという本について、どんな話だった?って聞いてみると、読んでいるようなのだ。文章そのまんま暗記してたりする。
それはそれでいいのだが、
本読むって、そういうことか?
と、読書とは、本読みながらぼんやりすることだった私は、思うのだが。
570円の本をたった1日で消費されてはかなわんなあと思う。

いいか。私がまた読もうか。「坊ちゃん」。
夏目漱石について、面白い評論があったよ、そういえば、と思って、がさがさ探してみるけど、見当たらない。人に貸したかも。
彼は、小説書くことで、むずかしい生い立ちの中で、ゆがんでいた自分をなんとかまっとうにしていったのだという話だった気がする。一方で日本近代はゆがんだまま突っ走った。

ゆがんでいるのは日本だけでもないのが、またむずかしいところで、あっちもこっちも歪んでいて、何が何だかわかんないんだけども。

身辺の人間関係ひとつ考えたって、
歪みの訂正なんてできたら奇跡だ、と思う。夏目漱石みたいな奇跡が無数に必要だ。

親譲りの無鉄砲で……というのは、わりとせつない話なのだった。いったい何がかなしくて二階から飛び降りるか。
で、息子に言ってるわけだ、私は。きみは二階から飛び降りません。卵を人にぶつけません。坊ちゃんの真似をしてはいけません。

つまらん。

雪。買い物に行かなきゃいけないが。