職員室は教室ではない。

朝、通学班の集合場所で、子どもらが鬼ごっこしている。
いきなり叩かれて、鬼にさせられた私の子ども。
公園や空き地に3年のカナちゃんが逃げ込むと、そこはなかなかいい逃げ場なんだが、するとカナちゃんの弟が「そこは鬼沼だから、カナちゃん鬼」と勝手に鬼にしてしまう。カナちゃん怒る。「そんなの最初に決めてないじゃん」。カナちゃんの怒りは正しい。汚いルールで遊ぶな。

「職員室も教室に含む」
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201112100014.html

大阪府松井一郎知事は9日、府議会で継続審議していた朝鮮初中級学校9校への補助金計約8300万円について、うち8校が北朝鮮金正日キム・ジョンイル)総書記らの肖像画を職員室に掲げていることを理由に補助を見送り、予算計上を1校分約800万円に減額する方針を明らかにした。橋下徹前知事は教室からの肖像画撤去を支給要件としていたが、松井知事は「職員室も教室に含む」と述べた。

 府によると、現時点で、府内の朝鮮初中級学校9校のうち8校が職員室に肖像画を掲げており、支給対象は9校から1校に減る。府は12月府議会に減額した補正予算案を提出する方針で、過半数を占める大阪維新の会は可決させる方向だ。

 府は外国人学校に対し、教育環境の向上などのため補助金を支出してきた。橋下前知事が公立高校の授業料無償化をきっかけに、朝鮮学校への補助金について再検討を指示。昨年3月には、朝鮮総連との関係を断つ▽金総書記らの肖像画を教室から外す――など四つの支給要件を示し、9月府議会に初中級学校への補助金を盛り込んだ補正予算案を提案した。

☆☆

そもそもこれは権力が一方的に押しつけたルールであり、鬼ごっこする気のない子どもを叩いて、勝手に鬼にしてはやしたててるみたいなことだが、職員室も教室だなんて、「そんなの最初に決めてないじゃん」である。

話かわって、私の子どものクラスはまだ、教室にストーブがはいっていないらしい。ここらへんの公立小学校の基準服は半ズボンで、もう寒いから長ズボンで行けというのに、みんなが半ズボンなのにぼくだけいやだと言って、泣く。難しい年頃になってきた。それで青洟だしながら、半ズボンで登校してるけど、ストーブもなくて寒くないのかな。(私はすでにズボンも靴下も二枚重ねだ)
ストーブは、みんなが暴れて危ないからって、先生がつけないんだそうだ。教室、まだ荒れ模様らしい。こないだは授業中にさわいでいた出席番号1番男子を、教頭先生がきて、職員室に連れていった。そのまま給食のときまで、職員室で勉強させられていたって。

だけれども、その日そのとき、職員室で勉強させられた出席番号1番にとってさえ、職員室は教室ではない。私の子どもなんか、忘れ物して取りに行っても、ひとりで職員室に行けないし、入り口でほかの先生に声かけてもらってさえ、腰がずずずずずっとうしろに引けて入れない。
職員室は教室ではない。子どもにとって、職員室が教室でないのなら、大人にとってもそうである。

でも職員室も教室なんだって。この知事、へん。職員室も教室だって言うんだから、白を黒とでも灰色とでも、何とでも言うぞ。

後出しの鬼沼みたいなルールをもちこんでまで、権力は朝鮮学校を「兵糧攻め」するという。倫理もへったくれもない。どうしてこんな卑劣なことができるのか。現実に、そこで子どもが学んでいるのに。

子どもは民族教育を受ける権利がある。日本の公教育はそれを保障しないのに。奪うことだけはするんだな。税金もとるのに。

朝鮮学校は、日本という炭坑のカナリアみたいな存在だと思うけれど、他人ごとと思っていたら、そのうち自分ごとになる。みんなまるごと泥に沈む。沈めた権力も、いずれ自ら沈むだろうが。
しかし、権力の不気味さ。まがまがしさ。

どうすれば沈まずにいられるかを、カナリアは懸命に教えてくれていると思うけれども、連中には聞こえないんだろう。

民族の言葉を学ぶ、教える、その切実さに思い及ぶことができないっていうのは、簡単に言って、知性がないし、教養がない。

卑しい連中が、権力もって何することやら。