学校

土曜参観日だった。
参観日、4月もあって5月もあって、なんか多くないか。
PTAもあるから、毎週行ってるような気がする。しんどい。
なんて言ってはいかんのだろうな。
子どもは週5日も学校行くんである。

それで朝8時半からパパと一緒に学校に行った。
りくはまじめにやっていたが。
退屈して教科書の違うページ読んだりしていたが。
見るかぎり、隣の子とも仲良くやってる。
お互い、悪意というものはないのだろう。
でも40分ぐらいが限界ですかね。じっとすわってるの。
家で好きなことしてるときは全然平気みたいだけど。

おかあさんが来ない、といって、ついに大泣きする男の子いたり、
鼻血が出て、トイレットペーパー抱え込んでいる男の子がいたり、
ぜんぜん頭が働いていない女の子がいたり、
自分の子見てるより楽しいので、眺めていた。

帰り、運動場でパパとはぐれる。
こういうときは動いてはいけないと思うので、じっとしている。
無事見つけてもらったが、
「あんた、ほんとに学校きらいなんだな」と言われる。
足で地面にらくがきしてる格好もそう。だいたいそんなこと、親がするか。体の芯から、学校きらいっていうのがにじみ出ているよ。よく大学まで行ったよな。

あー。

大学は無理だったな。入学はしたが、講義は出れなかった。高校まで自分を学校に行かせていた強制力が消えてしまったら、もう全然無理だった。なんかもう、限界きてたかも。よほど関心のもてる講義でないと、1時間半すわってらんない、しんどくて。

小学校たのしい、と4月には言っていた子どもは、楽しいというのをためらうようになった。勉強もあんまり楽しくない。退屈を耐えて、すわっているのがしんどいらしい。「じっとすわっているのが、もういらいらしちゃうんだ」「4じかんめとか5じかんめとか、もういやなんだ」

いきなり。
いきなり私は理解した。
小学校のとき、ときどき、後ろにたってろ、と言われて、立たされていたんだが、なぜ立たされたのか、全然理由がわからなかった。
わかった。たぶん、じっとすわっていられなかったからだわ。

今だって、45分参観しているだけで、疲れるもん。PTAの話し合いが2時間もつづくと、叫び出しそうになるもん。

それを思うと、子どものがんばりは、まったくすごいのである。

帰り、薬屋で、同じ1年生の別のクラスのお母さんに声をかけられる。向こうは私をわかっている。私も、PTAの役員が一緒なので、何度も一緒に作業している。幼稚園も一緒だったはずである。なのに、だれかわからない。名前おもいだせない。最近よく目の前に出てくる顔、という以外、わからない。

パパにあきれられる。
「無理だよ。だって人の顔も名前も、あんまりたくさんありすぎるんだ」

人の顔と名前を覚えるのが苦手である。1対1で接していく分にはいいのだが、そうでないとおぼえられない。

人間的欠陥と思っていたが、アスペルガー症候群の特徴とわかってからは、苦にしないことにした。が、だからって開き直っていいもんでもないのだ。
薬屋のあの人はだれだったんだろう。役員名簿を眺める。たぶん、この人かこの人なんだけど、どちらだろう。

視覚支援が必要なのに違いない。写真と名前を書いたカードとか。PTAと、町内会と子ども会と。