ロマンチックな船

ちびさん、毎日お船をつくって帰る。たまるたまる。難破船。空き箱と牛乳パックとトレイとトイレットペーパーの芯とヨーグルトやプリンのカップが、部屋の隅に山積み。でもひとつひとつ違う船なのだ。ばくだん運んだり石油運んだり、クルーズ船だったり、今日のはなんとかなんとか船なんだが、カタカナの長い名前で、おぼえられん。
これだって、ちびさんにはロマンチックな船なんだろうが、かわいそうにママはおとななので、ゴミにしか見えん。
ああ、捨てたい。

最近、ちびさん、ようやくせっせっせの手遊びがすこしできるようになった。年中さんのときは難しくて全然できなかったのだ。たぶん不器用なのと、相手の動きにあわせることが難しいのだろう。(ああそういえば、じゃんけんもなかなかできなかった。それができるようになったのだからたいしたもんだ)
アルプス一万尺を教えながら、これは昔、パヤタスで子どもたち相手に遊んで、汗が目に入って痛くて、吐きそうなほど疲れるまで遊んだのだと、思い出してなつかしい。ちびさん、なんとかできるようになった。
それから、ぼくはこんなのを知ってる、と言って、幼稚園でならったのだろう、いちべえさんのを教えてくれたが、たぶん、おともだちと手遊びするにはいたってなくて、ひとりで気ままに踊ってる感じ。

いちべえさんがいも切って、にべえさんが煮て食べて、さんべえさんが酒のんで、よんべえさんがよっぱらって、ごべえさんがゴボウ掘って、ろくべえさんがろくでなし、しちべえさんが(なんだっけ)、はちべえさんがはちにさされて、きゅうべえさんがくすりをぬって、じゅうべえさんがじゅうばこかついで、あぶぶのあぶぶのあぶぶのぶ。
で、にらめっこ。
ちびさん、連戦連敗。すぐわらうのだ。
しかし、よんべえさんがよっぱらって、で、ふらふらするところと、ろくべえさんがろくでなし、で首をかしげるところが、えらくかわいい。

思い出せないと気になる。
しちべえさんは、何をしたのだ。

しちべえさんが、しおまいて
しちべえさんが、しょうゆかって
しちべえさんが、しちならべ
しちべえさんが、しかめつら
しちべえさんが、しちがよい
しちべえさんが、しばかれて
しちべえさんが、しんだふり

うーん、どれも違うみたい。明日ちびさんに聞こう。