作文が書けない話について

毎週末、作文の宿題がある。子ども「書くことがない」とノートを前に、じつにゆううつそうにすわっている。ごくろうさんだなあ。

書くことならいっぱいあるよ。あれとか、これとか、それとか、なんでもいいよ、と声かけてみるが、どれも気に入らないらしい。
ふだん困ったときは、読んだ本の話を書くんだが、きょうは本の話を書く気にもならないらしく、子ども、まったく途方にくれていた。

じゃあさあ、作文書けなくてこまっていますっていう作文書いたら、って言ったら、「おお、そうしよう」と書きはじめた。

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十月十六日 日よう日
作文が書けない話について

 二日間、楽しいことがなかったので、今、とてもこまっています。なぜなら、ぼくは、作文は、楽しいことを書くのがき本だと、思ったからです。原因は、休日のねすぎだとも、思いました。ぼくは、とてもとてもとてもとてもふあんです。
 すると、父さん、母さんが、
「何でもいいから書けよ。」
とか、
「休けいしてる場合じゃないでしょ。」
など、色いろなことをぶうぶう言ったので、大へんなさわぎになってしまったということです。


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はい、大へんなさわぎでした。子どもがノートを前に途方にくれている間に、父さん母さんは、あることないこと10こぐらいの作文をでっちあげたもんね。全部、却下されたけど。