米送れ

どれくらいぶりかな、弟から電話。
しばらく前に電話番号が変わったという電話をもらったけど、こっちから電話をすることはないので、それ以来。あれがいつだったろう。
でも、4月に私が留守をしている間に、一度電話があったらしい。ふーん、と思って、思っただけで、折り返し電話をするとか、思いつかずにいた。
で、その弟から電話。
用事なしにかけてきたりはすまいから、どうしたの、ときくと、
「姉ちゃん、頼みがあるんやけど」という。
やーな予感だ。
折り返し電話してくれというのですると、
「姉ちゃんに頼みごとするのは、これがはじめてやと思うんやけど」
という。たしかに。この姉は役に立たないことをよくわかっているらしく、私のところに問題をもちこんできたことは、いままでに一度もない。それが言ってくるっていうことは、父とも兄ともうまくいってないんだな。去年、兄とけんかした話はきいたけど。
「姉ちゃん、何か食べ物、送ってくれ」
食べ物?
「出勤日数が減ってから、金が足りん。先月もそれで電話したんやけど、姉貴おらんから、言えんかった」
不況のせいか。
せいだろな。
金はないが、米はある。
米送ってやるよ。魚の缶詰とラーメンもつけてやろう。

ああ、いま私に、屋根と米があるのは、奇跡のようなことだ、と思う。