わけはきかない

昨日から雪。でも雪かきするほどではない。ぼたぼた音がするのは、溶けて落ちているんだろうなあ。しっかし寒い。

子ども、数日前、ふいに、
「療育は今度いついくの。ぼく、Y先生とお話したい」と言った。
療育は夏に行ったから、今度は次の夏休みのつもりだったんだけど。
療育に自分から行きたいというのも、診察を望むのもはじめてのことなので、きょとんとしてしまう。Y先生は担当のやさしい女医さん。

それでY先生とどんなお話したいの?
「巨大都市とか……」
巨大都市?
もしかして、もしかしたらきみは、自分の頭のなかの空想の遊びのあれこれを、聞いてもらいたいとか、そういうこと? 先生やさしいから聞いてくれるかもしれないけどさ。
あの、さ。Y先生、お医者さんなんだよ。体のお医者さんもするし、心のお医者さんもする。それですごく忙しい。だから療育は、診察してもらったり相談にのってもらったりするために行くので、遊びに行くのじゃないんだよ。
きみが、Y先生に一番お話したいことは何でしょうか、巨大都市? と聞いたら、
「うーん、それは、ないしょ」
ときたもんだ。

それから、いいかげんなお母さんの私は、療育の話は忘れかけていたんだけど、今朝、子どもが言った。
「ぼく、Y先生に相談しなきゃ。いじめのこととか」
どうやら診察に行く理由を考えついたらしい。それはしたほうがいいかもね。立派な理由になると思います。
「それにぼく、診察してもらわなきゃ」
どこを。
「ここ痛いし」
とお腹をおさえる。いつから?
「いま」
いま。じゃあ、次の「いま」がきたらなおるね。
「それにぼく疲れやすいし」
いつから。
「あー、昨日かな」
あれだけ散らかして遊んで、疲れやすいもないもんだ。
笑ってしまう。
理由はいいわ。うその理由を考えなくてよろしい。わけはきかない。Y先生とお話したいんだよね。いいよそれで。予約してあげるよ。巨大都市の話でもなんでもいいよ。

月曜日に電話しようと思っていたら、外出先のバス停で、ばったり療育の受付の人に会う。予約の状況をきいたらけっこういっぱいみたい。学校を早退して行くようになるかもしれないけど、3月中に行こう。
このあたり、2年生までは、発達障害の診断がある子は医療費免除が受けられるのだが、そのあとは援助がない。それじゃあ、皮膚科その他も3月中に病院まわりしなくっちゃ、と気づいた。