病院で

連休明けに病院に行った。検査結果聞きに。
「ピロリ菌の除菌は成功してますね」
わあい。

で、終わり。
待合の廊下に、おじいさんがいた。問診を書くのに、おじいさん書けないでいるらしく、事務の人がつきそって、あれこれおじいさんにきいていたのだが、これが、なんともいえなかった。

今日はどこを見てもらいたいんかね。
「……わからん」
どこか見てもらいたいところがあって、きとるんやろう。
「……新聞に、腸のことがのっとった。」
腸? 腸が気になるんかね。大腸かね、小腸かね。新聞にはなんてのっとったん。
「……新聞に……」
新聞に何が書いてあったんやろうか。
「……よう、わからん。」
わからんの。それで、おじいさんは、先生にどこ見てもらいたいかねえ。
「………」
頭が痛いとか、おなかが痛いとか、なんかあるかねえ。
「……わからん」
どっか具合悪いとこある?
「………」
ごはんは食べれるかねえ。
「……うん」
いつもとかわったところはあるかねえ。
「………」
いつもとかわりなかったら、どっか悪いというんでなかったら、無理に病院に来んでもええんやないやろか。ゲンバクもっとるんよね。(原爆手帳のこと)。それで健康診断のときに調べてもらうんでもええんよ。

おじいさんもなんか困っているが、事務の人も、そのあと交代して問診している看護師さんも、困り果てている。

おじいさん、ひとりで来たの?
「……うん」
どうして来たのかねえ。どこか具合悪いん? 何をみてもらいたい?
「……わからん。……新聞にのっとった」

たぶん、おじいさん、お告げをきいたのだ。病院へ、行くんだよ、って。
それはたぶん理由があることだったのかもしれないんだけど。

おじいさん、そこから動きたくないみたいだった。おじいさんとしては、ここに自分の用事があるから来てると思うんだ。でもそれが、世間の理屈とかみあわない……。

自分の診察もすんだので、私はそのあとの成り行きを見ていないんだけれど、どうなったかなあ。


☆☆

いちご畑と今日の収穫。一瞬で消えた。午後3時、向かいの山の緑。
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