現代詩手帖特集版『シモーヌ・ヴェイユ――詩をもつこと』

現代詩手帖特集版『シモーヌ・ヴェイユ――詩をもつこと』(思潮社、2011年12月)が届いた。こちらで紹介されていたので、ぺったん。
http://d.hatena.ne.jp/clair-de-lune/20111228

野樹は、『根をもつこと』の解題を書きました。一番最後のページ。
自分の文章への不満は、すごくあるのですが、著作の主題、内容は、正しく忠実に伝えていると思っています。何かの参考になれば。
再読する機会を与えてもらって、うれしいことでした。



『根をもつこと』から、ヴェイユの言葉をすこし紹介。

「義務の観念は権利の観念に優先する」

「人間としての人間それ自体にたいする義務のみが永遠である」

「知性の集団的行使なるものは存在しない」

「思惟の表現が(…)〈われわれ〉という短い言葉に先立たれるようになるやいなや、知性は敗北する。そして知性の輝きがかげりをみせるとき、かなり短時間のあいだに善への愛も踏み迷うことになるのである」

「人間本来の傾向は不幸な人間たちに注意を向けないところにある」

「金銭と国家とが他のすべての結びつきに取ってかわってしまった」

「エゴイズムや自負に限界を設けなければならないということが、多かれ少なかれみとめられている。ところが、国民的エゴイズムや国民的自負ということになると、無制限のわがままが許されているばかりでなく、可能なかぎり最高度のわがままがなにか義務のごときものによって課せられているのである」

「義務は無限である。だが対象は無限ではない」

「民衆のみが、おそらくは、いっさいの認識のなかでももっとも重要なものであるべき、不幸の現実に対する認識を独占している」

「われわれは四つの障害によって、価値あるとされる文明の形式に達せられずにいる。われわれにみられる、偉大さにかんする誤った観念、正義の感情の堕落、金銭の偶像崇拝、宗教的霊感の欠如がそれである」



あとはまだ巻頭言「詩をもつこと」(今村純子)しか読んでませんが、この巻頭言が、美しい。