火星人

くるくるまわる子どもだった。
くるくるまわるが、おどったり、お遊戯したりはしなかった。
歌なんか絶対うたわなかった。
ついでに子ども、偏食もすごかった。
すると言われるのだ。
おかーちゃんが悪いんやろ。
おかーちゃんが歌ってやらんから。一緒に遊んでやらんから。おいしいものつくってやらんから。

そんなん言われたら、けっこう、うっとうしいぞ。
けっこううっとうしくなる前に、アスペルガー症候群の診断がおりたことは、私はとっても助かった。
歌わないのも踊らないのも、偏食も、発達障害のせいで、
おかーちゃんのせいではないんです。
私はさっさと開き直った。

さて、その子どもだが、小学校に入ると、歌も歌えるようになり、運動会のダンスもできるようになり、いまは家でも鼻歌うたっている。
こんなの。

 ぼくを見るたび さわぐぜ地球人
 どういうつもりかわからないけど
 気分は最高 ぼくは火星人
 ほおじろざめじゃない ぼくは火星人
 火星でパーティ すぐこれるさ

 たべなよチーズピザ
 ぼくは案外ナイスガイ
 ぼくは火星人 仲良く腰をふるふる
 ぼくは火星人

 さ、レスカで乾杯 トークも最高
 でもヘルメットけなされたら チョーむかつく

 うつぞレーザー そう地球をねらってる
 うつぞレーザー おいなめんじゃないぜ

 ぼくは火星人 ブンシャカラカ
 ぼくは火星人 シャカラカブーン

 ゲームオーバー……

……ラップだ。なんかのアニメかゲームの歌なんだろうが、うちの火星人、とてもごきげんよろしく。