春の草

14日の、最初の地震は知らなかった。16日の夜中の地震はここらもすこし揺れた。
熊本城や阿蘇山は、中学校の修学旅行で行った。今年の夏は、九州に行こうかと息子と話していた矢先だった。胸が痛い。
お見舞い申し上げます。



宮本輝の「流転の海」という小説。昔すこし読んだ。それがいま、7巻くらいまで書き継がれていると知ったので、また最初から読みはじめて、いま2巻目。2巻までは読んだ記憶がある。舞台が、主人公の父、松坂熊吾の故郷、愛媛の南宇和で、私の郷里の宇和島に近い。明治30年代の生まれという設定なら、うちの婆ちゃんと同じだ。婆ちゃんは南宇和の生まれ。語尾に「なぁし」とつける話しかたが、婆ちゃんを思い出させるし、言葉も風土も、なつかしいことでしたが。

子どもの頃、まわりの大人の話なんて、さっぱりわかんなかったし、関心もなかったし、母がまた、噂話の類をいっさいしない人だったから、私はその頃は何も知らないままで、大人になってからあれこれ知ったことも多かったけど、たぶんこんなところやったんやろうなあと、小説読みながらいろいろ思い出したりした。
えげつない話もたくさんあった。でも、みんな、もう死んでしまった。

小説に、熊撃ちの銃が出てきて、え、と思った。
あのあたりに熊なんかおったやろか。いまもおるんやろか。
子どもの頃、私は熊の話なんか聞いたことない。ひとりで山のなかを歩きまわってる子どもだったけど、山にいくのに、熊に気いつけえ、と言われたことはない。
熊に気いつけえ、と言われるのは、いまの土地で暮らすようになってからだ。中国山地は熊がいる。すぐ近くにいる。山桜を見に行きたかったのに、ワラビもたくさん出るところなのに、山は熊が出るから駄目だと言われて、桜の頃は、人もいるから、そのあたりは出てこないよと思うけど、喧嘩するのも面倒で、あきらめたけど。
それで私はクサクサしている。
調べてみたら、四国のツキノワグマは、いないことはないけど絶滅危惧らしい。いまは捕獲してはいけないことになっている。剣山の山奥のほうにわずかに生息しているらしい。

晴れたので畑に行く。風が吹くなか、ひたすら草ひき。

なかには食べられる草もある。
昨日、よもぎ入りカレーをつくったら美味だった。今日は味噌汁に入れた。
ノビルのぬたはわりと絶品。スベリヒユのおひたしもおいしかった。
手入れしないでほったらかしの畑なので、雑草は元気に育っているのだ。
庭の、ドクダミの葉の天ぷらもよかった。もうすこしして、つる薔薇の蕾がふくらんだら、天ぷらか塩漬けにしよう。ワラビもフキも、そのあたりにもいくらでもある。

草を食べると、ほっとする。