書けるボールペン書けないボールペン

老人ホームの仏間が、娯楽室と呼ばれていたのは、それはそれで工夫あるところかもしれない。
私が住んでいるあたり、寺がないので寺の派出所かな、説経(教)所、と呼ばれている古い建物がある。その説経所に仏壇があって、通夜も葬儀も、する人はするが、月に何度かは、老人会の娯楽のために使われる。カラオケしたりゲームしたり骨密度はかったり、お弁当食べたり。
ここは小学校も遠いので、今日は、その説経所が投票所になっているはず。
その説経所のしずむ畳が嫌いなので、町内会の役員がまわってきて老人会の世話係になったときはしょうがないが、できるだけ行きたくないので、選挙はもうとっとと役場ですませてるので、今日はもう出かけない。お片付けする。

老人ホームの娯楽室はあれから夢にも出て来たが、いくら古い建物といったって、せめてバリアフリーにしないと、死者の顔を見ようとして、畳の数センチの段差をのぼれなくて、お婆さん気づいてもらうまで立ち尽くしていた。しみだらけの座布団カバーとか。棚にいくつも無雑作に置かれた遺骨や遺影。

その座布団で思い出した。大学1年のとき私は寮にいた。ある夕方、大学の職員が寮にやってきて、たまたま入り口付近にいた私が対応したんだけど、座布団を出してくれと言った。共用の畳の部屋に座布団はあったから、あるだけ出したんだけど、これからお通夜なのに、座布団もないんだ、ということだった。隣が男子寮だったのだが、その男子寮で、誰か首をくくったらしかった。…きれいな座布団じゃもちろんなかった。

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子どもが、クリスマスツリーを出そうよう、とうるさいのだが、これが大変で。ツリーを置けるスペースは仏間しかない。この仏間が、いまは、というか、いつでもなのだが、物置である。
でもここは客間でもあるんだから、人が来てすわれるくらいにはきれいにしとこうよう、とは思うんだが、こないだ死んだおばさんちにあったものが雪崩れこんできてるし、そのうえに、大量の文房具ももらって、もう無理。

で、無理だというのにあきらめない子どもがうるさいので、とりあえず文房具の整理にとりかかった。
知人が関わっているところが、カンボジアの教育支援のために集めた文房具を現地に運んだらしいのですが、そのあまり、のようですね。くださるというのでもらいに行った。

パアララン・パンタオのほうでは、基本的に、物品の寄付はお願いしない。現金がいい。現金でください。送料が工面できないし、誰か行くついでにもっていくにしてもたくさんは無理だし、もっていっても、現場で使えるかどうかはわからない。使い勝手がよくないものは、使えない。お金があれば現地で安く買えるし、最近は国内の若い人たちが文具をもってきてくれる。
でも、使えそうなものがありそうなときは、断らないことにしている。

で、使えるもの使えないもの、持って行けるもの持って行けないもの、の仕分けをはじめたんだけれど、これが、昨日半日かけてやってもまだ終わらない、全然終わらない。
昨日やったのは、筆記用具の整理。

まず、クレヨン、色鉛筆の類は迷いなくパアラランへもっていくほうの箱に入れた。

次に鉛筆とペンをわける。これが、とんでもなく大変。
鉛筆は、使いかけと新品をわける。
うしろに消しゴムのついているのといないのとを分ける。
うしろに消しゴムのついているのだけを、パアラランにもってゆく。パアラランではこのタイプが使いやすい。
消しゴムのついていない新品を、Bと2B、HB、その他にわける。
Bと2Bは近所の低学年児童にあげることにする。HBはまた別のところへ。
のこりの、使いかけの大量の鉛筆は、うちで使うことにする。

次にペン。ボールペンとシャープペンシルとその他にわける。
これがもう、一本ずつ見ないと、ボールペンだかシャーペンだがわかんないので大変。
ボールペンを、色別に分ける。黒、赤、青、三色ないし4色。
その一本ずつについて、書けるか書けないか、書きやすいか書きにくいかをたしかめる。
日本のボールペンは書きやすいので評判がいい。なので、こないだレティ先生たちが来日したときにも、新品の赤と黒のボールペンたくさん買って渡した。
だからボールペンはありがたいが、書けないボールペンはいらない。書きにくいボールペンもいらない。
そいで、書けないボールペンと、書きにくいボールペンが多い。
書きにくいボールペンの書きにくさをどのあたりまでよしとするかで、迷うなあ。

たくさんあったのはシャープペンシルだが、シャープペンシルはいらない。うちに置いておくよりしょうがない。一生分よりたくさんあるね。

ここまでで、夜になった。かれこれ100本ほどは捨てます。

サインペンその他の整理はこれから。
ノートや紙類、その他の整理もこれから。
それが終わったら、物置、もとい仏間、のすみになんとかスペースつくって、クリスマスツリー出しますかね。子ども、まつぼっくりで大小のツリーもつくったし、紙であれこれのビルやら家やら車やらつくっていて、ツリーのまわりに、街をつくりたくてうずうずしているのだが、街のスペースまで確保できるかはわかんないよ。

……と思っていたら、待てない子ども、居間で勉強部屋で寝室、のほうの部屋でクリスマスツリー出しはじめた。そっちだと夜寝るときには撤去しないといけないんだが、まあいいや。夜になってから考えよう。

私は文房具の整理のつづき。その前にひるごはん。