頭に白い紙をまきつけて、背中に白い紙を貼り付けて、子どもがやってくる。
きくまでもないが、きいてみる。
何やってんの。
「ぼく、天使になった。これ、羽だよ」
天使の羽つけて、どこへ飛んでいくの。
「お部屋のなかをとぶの」
部屋のなかを飛びまわるのは、そりゃ蠅だ。
天使の蠅は、部屋のなかをとびまわっておりました。
が、
その部屋のなか、散らかしっぱなしで、足の踏み場ない。
片づけてっていったら、ひらひら飛んで逃げていく。
そいでパパのところに行って、言ってるんだ。
「ぼくは天使です。何か困ったことがあったら言ってください」
うちのバカ息子が、ママのいうことをきかん!
とパパが言うと、
「わかりました」と、天使はひらひらとんでいった。
何がわかったんだ?
しばらくすると、天使が私のところにひらひらやってきた。
紙に大きなハートをかいて、赤鉛筆でぬりたくって、切りとったやつをもってくる。
「ハートあげる」
それからまた、もってくる。さっきよりおおきいハート。
かれこれ4枚ほど。
赤鉛筆が途中でかけなくなったらしく、最後のはオレンジ色。
ママの機嫌とれって言ってないっ!!
片づけろって言ってるっ!!!
天使はいなくなって、もう戻ってこなかった。
次にあらわれたのは、筒状の白い紙を頭にかぶった子で、
「ぼく、コックさんになった。お手伝いするよ」
という。
晩ご飯、よそってもらった。