桂浜の小石

翌3日。暗いうちにホテルを出て、駅へ。
行ったことのないところ、乗ったことのない路線は憧れであった。息子はやってきた車両に感動している。どこが感動ポイントなのか、私にはわからない。
徳島から阿波池田まで。乗り換えて、土讃線で高知まで。この日はJR四国の正月限定の特急も乗り放題格安切符。

高知に着くと、目に飛び込んでくるのは、アンパンマンと龍馬先生。
空は真っ青、雲ひとつないいい天気。なので、海までゆく。
バスで桂浜まで。
龍馬の銅像あたりで、アイスクリン売っているので、買って食べた。なつかしいなっと。息子ははじめて。「アイスクリームとは別物だ」とふしぎがっていた。

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桂浜。大晴天。いつか晴れた日の桂浜を見たいと思っていたので、うれしい。
昔、一度だけ来たことがある。高校生のとき。兄と、もう10年ほど前に死んだ、兄のような人と、ふたりが、ドライブに行こうか、と誘うので、誘いにのったら、連れてこられたのがここだった。

宇和島からどの道を走ったんだろう。ずいぶん遠かったし、あのころ道もそんなによくないし、車に酔いやすい子どもだったので、酔ったし、天気は途中から空が暗くなってきてたし、季節はいつだったんだろう、とにかく海に着いたら、風が強くて、波が荒くて、寒くて寒くて、雨までぱらぱら降ってきて、一面灰色の世界だった。なんでこんなにぼろぼろ疲れて、こんなに暗いこわい海を見なければいけないかと、恨めしかったけど。

こんなに光にあふれた青い海、雲ひとつない青い空。桂浜の上書き完了。笑い出したくなるくらい、気が晴れた。

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それからバスで市内へ。途中で、市電に乗り換えて、駅まで。
やっとここで駅弁買う。息子が欲しいのは売り切れてなかったけど。列車の旅の難しさは、乗り換えの時間とかうまく折り合いがつかないと、食事をとりそこねてしまうことだ。あれこれの駅弁をあこがれながら、たいていお腹をすかせている。
大歩危下車。

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渓谷見ながら、弁当食べる。遠くの山の上のほうに日が当たっているのが、なんかうれしい。
タクシー代はないので、かずら橋は行かず、駅周辺を散歩する。
それからやってきたアンパンマン列車に乗るが、岡山行きはデッキも身動きできないくらい、混み始めていた。
多度津下車、坂出まで行って、坂出からマリンライナーで岡山へ。坂出からは青春18きっぷ。瀬戸大橋を渡ったあたりで、日没。
それから鈍行にゆられて、夜遅く、帰宅。

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帰りつく頃になって、お土産をなんにも買ってない、と気づいた。息子のポケットには、大塚美術館のガチャのゴッホの絵のピンバッチ。私のポケットには、桂浜の小石。

ありがとう。楽しい旅でした。