カナリア

学校は2学期制で、先週で1学期が終わり。金曜日に懇談会に行って、よい子の歩みもらってきた。
運動会の組み体操の練習がはじまる日に、保健室に逃げ込んだ話を聞く。息子から聞いた話と先生から聞く話は、やはりすこしちがうのである。気分が悪いと朝から言っていたが、午前中は元気いっぱいだったらしい。体育の直前にまた気分が悪くなった。それで先生に言って、保健室に行った。保健室での様子もごく元気そう、ところが先生を見るとあわててゲロ袋をもって、気分悪いと言うのだった。その様子が目に浮かんで、笑ってしまった。熱もなかったが、また熱が出るかもしれないし、と懸命に言い募ったらしい。
彼なりに見通しがたってきたのだろう。巨大ピラミッドをやらないというのもわかったし。そういえば、修学旅行のあとは、微熱も出なくなっている。

とてもまじめだけど、極端にマイナス思考になることがあるから、それを踏みとどまってほしい、自分のなかで結論を出す前に、本当にそうかなと、思ってみてほしい、と先生。
そんなにマイナス思考かなと驚いたけど。
考えてみれば、いじめられたトラウマもあるし、言葉を文字通りに受け止める子だし。学校なんて、「死ね」とか「殺す」とかぶっそうな言葉が平然と飛び交っているし。入学直後から隣の席の子にばしばし叩かれていたし。
たぶん、まわりの子どもに対する警戒心は、すごくある。
世界は悪意に満ちている、と受け止めた、まず。そこからなんとか、そうではない安全な隙間を探して生きのびる、というふうだよね、彼の世界観はね。
生きのびようと、ほんとによく闘っていると思うんだけど。
人のいいところを見るようにしてごらん、すこし楽になるよと、息子には言ってみた。

Yくんのクラスは学級崩壊しているらしい。緊急のクラス懇談会があると聞いた。Yくんは運が悪すぎる。2年連続学級崩壊クラスにあたってしまった。2年とも、Yくんがこんなクラスにいられないと、教室に入れなくなったあと、なしくずしに学級崩壊になっている。カナリアみたいな子だな、と思う。