韓国⑥ 景福宮つづき 光化門 南大門

景福宮(つづき)

ふと目にとまった。屋根。屋根に飾られているのは、これは兵士かな。獣かな。守り神みたいなのかな。屋根の上のかわいいひとたち。なんていうんだろう。どの屋根にもいる。ご存じのかた、教えてください。
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一度気になると、もうとても気になって、しばらく屋根ばかり見て歩いた。
朝鮮王朝の宮殿。焼失したり再建されたり、朝鮮総督府が置かれたり、ずたずたの歴史を、このひとたちは、屋根の上から見おろしていたのだろう。どんなふうにこの国の歴史を見つめていただろう。この、屋根の上のかわいいひとたちに口があったら、侵略者たちの恥知らずな景色なども、いくらでも喋ってくれるだろうが。

赤い柱の通路を通ったとき、ふとそこで、子どもとかくれんぼをしたことがあるような気がした。もちろん錯覚だが、かくれんぼするのにちょうどよさそうな柱だもん。
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以前はここに、旧朝鮮総督府の建物があった。景福宮勤政門の真ん前に。
私も見たはずなんだけど記憶がない。いまはそれもすべて撤去された。

光化門
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%8C%96%E9%96%80

景福宮から光化門まで、広々とした石畳の広場。そこに、ふいに、民族衣装の人たちがあらわれて、古楽器を奏でてあるく。王朝時代の衛兵交代式を再現しているのでした。しばらくながめた。
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27年前、ここからソウル駅まで、私は歩いたんだけれど、いまは地下鉄があるので、地下鉄でゆく。ソウル駅まで。

それから南大門市場へ行って、ようやくごはんを食べたのが午後4時。
かわいそうに私は、メニューの安いほうからふたつみっつ見るだけですます習性がある。高いほうはもとより関係ないと思っているのだ。それから、ぱっと見てわかるハングルとじーっと見ないとわからないハングルと、じーっと見てもわかんないハングルがあって、まずぱっとわかるハングルが、ビビンバとキムパプ(のりまき)で、だいたい一番安いところにいるので、ついそれをたのんでしまう。で、結局、滞在中、ビビンバとキムパプばかり食べていた。コンビニのおにぎりのビビンバ味もおいしかった。

市場のなかを歩きまわるのは楽しい。にぎやかだ。市場に限らず、通りはにぎやかだ。みんなよくしゃべるし、声がくぐもってなくて、前に出ている。ああ、生きるというのは、声を出すことを怖れないということなんだな、と思ったりする。生きなきゃ。

リュックの荷物が増えるのはいやだし、買い物する予定もないが、見てまわる。子どもにたのまれた、KTX(韓国新幹線)の玩具だけは買って帰らなくちゃいけないのでさがすけど、なぜか玩具屋を見つけられない。ようやく見つけてKTX買って、それから屋台で金魚パン(金魚パン、と昔教えてもらったけど、ガイドブックには、ふなパンって書いてあるみたい。たいやきの小さいみたいなやつで、そんなにあまくなくて食べやすい。)買って、地べたにすわりこんで食べたときには、すごく幸せな気持ちになった。

もうすっかり暗くなったので、ホテルに帰ることにする。市庁舎まで歩いて地下鉄に乗る。
市庁舎の地下道には大根が植わってる。そういえば「詩をうたう夜」の二次会の会場にもプランターに大根が植わっていた。日本なら、花でも植えていそうな道端のプランターに、ねぎや大根やブロッコリーやチシャなどの野菜が植わっているのが、すごくいい、と思うけど、盗まれたりしないのかな。Img_3081_2
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昔、駅や公園でみかけた民族衣装のおじいさんたちを、ついに見なかったのが、なんだかさびしい。歳月は、ほんとうに過ぎてしまったんだな。
堂山の駅を出て、ホテルまで歩いていたら、となりあった屋台のおじさんと、おばさんが、ものすごい大声で、けんかしていた。言葉がわかんないって、いい。なんだか元気そうで笑いたくなった。路上のあちらこちらで、くつした売っている。靴の修理やさんも店出ししている。靴、1日でずいぶんすりへった。