夏の雲


 金曜日の午後から、山口のおじいちゃんおばあちゃんのところに行く。家を出るときは雨。信号のない山のなかの道を走っている間、ずっと雨。緑はきれいで、渓谷のいたるところ合歓の花が咲いていた。
 途中、トンネル内の落石で遠回りをすることになる。ダムのまわりをぐるっとまわる間、豪雨。前が見えないほど。面白いことに、数十メートルか数百メートルごとに、雨のはげしさが変わる。はげしいところはシャワーのように白くけぶり、そこを抜けると、やや雨脚が落ち着き、落ち着いたかと思うとまた前方に、はげしいシャワーが。
 そうやって山のほうから、海沿いの街中におりていくと、そこはもうカンカン照りで、真っ青な空。青い山の上から、夏のまっ白い雲が、子どもがバンザイをしているような姿で、湧き上がっていた。