ぼうけん

 14日から16日まで、山口の義父母のところ。
 15日はみんなで秋吉台秋芳洞に行った。秋吉台は車で通ったことはあるが、秋芳洞ははじめて。子どもが怖がるんじゃないか、とか言っていたが、大丈夫だよ、おっきなトンネルって言えばいいよ、と言い張ったのは私。秋芳洞、行きたかったのだ。
 入り口では、パパに抱っこされてこわがっていたが、「おっきなトンネルだよ、ぼうけんしよう」と言うと、「トンネル、ぼうけん」とうれしそうになった。トンネルは好きなのだ。ちびさん、だんだん元気が出てきて、途中からは自分で歩き出し、階段ものぼり、転んでも立ち上がり、がんばって「ぼうけん」しましたね。
 外は焼けるように暑かったが、洞窟のなかはとても涼しい。はじめてここにもぐった人は、地獄をのぞいたと思っただろうか。圧倒的だった。

 秋吉台を通って、長門、青海島まで行った。昔、一度行ったことがあるのだが、なんだかすっかり様変わりしていて、もう15年以上過ぎているのだと気づいた。長門はいまは童謡詩人の金子みすずのふるさととして知られるようになった。そこここで、彼女の名前が目にとまる。青海島の民宿で義父がうにとさざえの釜飯をごちそうしてくれる。とんでもなくおいしい。
 海が、すごい青さで、見ているとこちらの体まで青く染まりそうだ。近くの海に降りたけれど、子どもは波がこわい。石をぽちゃんぽちゃん投げて遊んでいた。くじら資料館をみて帰る。

 中国地方の山間部は、山と田んぼの緑のなかに、家々の赤い瓦屋根が、つくづくきれい。この時間の流れは心地よく、もう都市にはもどれない、と思う。ちびさん、きみはいつか、でてゆくのかもしれないけれど、そうしてきみも、きみ自身の「ぼうけん」をするのだろうけれど。暗いトンネルを通るときも楽しいぼうけんでありますように。