「六千万個の風鈴」

 短歌研究新人賞の「六千万個の風鈴」(吉岡太朗)
 六千万というのは、第二次大戦の死者の数だと思いこんで私は読んでいたんだけど、京都で会ったとき聞いたら作者はそういうつもりではなかったらしく、それは私の勝手な読みなのだが、なんにしても「六千万個の風鈴」というタイトルは凄いなあ。
 
 駅前の地下牢にある壁ひとつ青くてそれは海と呼ばれる  吉岡太朗(六千万個の風鈴)
 
 「エミリ・ブロンテ全詩集」を読み返したくなった。詩は、架空の王国の物語を展開するけれど、そのなかに「2千人を収容する地下牢」の話があった。
きっとエミリ・ブロンテの目には、現代都市の地下街は、地下牢に見えるかもしれない。
 短歌で、エミリ・ブロンテの詩のような、あるいは「ゲド戦記」のようなものがあったら、面白いだろうなあ、と思ったりした。