自閉症 傾向と対策

 療育センター。ドクターとの懇談。内容は、自閉症の子どもの傾向と対策について、といったところ。ちびさん、高機能自閉症アスペルガー疑いの診断。とりあえず、ドクターが書いてくれたメモを書いておこう。
 
目に見えないものの把握(が苦手)
 話し言葉 
 人や自分の気持ち
 場の雰囲気
 集団内の暗黙のルール(当たり前のこと)
   汎化むずかしい
 言葉の裏にかくれた意味 
   たとえ 皮肉 からかい 大げさ
⇒視覚支援(が必要、効果的)
 
 つまり、人づきあいの仕方が、難しいのだが、上記のことについて、ドクターがあげてくれる例を聞いていて、いろいろと思いあたるので、ドクターに子どものころの話などしながら、私は確信した。うすうす気づいてはいたんだが、私が自閉症だ。
 不思議なもので、ドクターの話に出てきた発達しょうがいの専門機関があるアメリカの大学に、パパは以前、おじいちゃん(教育心理の教授だった)につきあって行ったことがあるという。そのときは、自分がアスペルガーだとか知らないし、やがて結婚する奥さんや子どもまで同類だとは、夢にも思わなかったろうが。
 それでドクターとパパは、パソコンについて、「あれは、アスペルガーの人が、アスペルガーの人のためにつくったものでしょう」などと話している。
 
 人づきあいの仕方は、スキルとして身につけていったほうがいい、というドクターの意見に、全面賛成。それは、外国にいったときなどに、異文化のなかでの振舞い方を学ぶ必要があるということと似ている。そのようなものとして学んでいったほうが絶対にいい。私たちみたいに、スキルも何もないまま、「わからない」世界を手探りで生きなければならないのは、しんどすぎる。
 「マイノリティー」という言葉を使おうか、とりあえず。マイノリティーに対して、この社会は十分に残酷で、これから子どもが、避けて通れないかもしれない残酷と向き合うときに、必要以上に傷つかないためのスキルはほしい。
 
 で、ドクターが紹介してくれた2冊の本のうちの1冊を本屋で見つけて買って帰る。「挿絵もふんだんで、読みやすくわかりやすい」というのでお勧めだったが、それでも専門書なのだった。「特別支援教育 実践ソーシャルスキルマニュアル」(上野一彦、岡田智 編著)
 幼児から中学生ぐらいまでを対象にした具体的な実践例がたくさんあって、これは、学校の先生たちにぜひ実践してほしいなあ。スキルを身につける必要があるのは、発達しょうがい児だけではないと思うな。
 
 本を見ていると、ちびさん、それはぼくの本、と思ったらしく、ママから取り上げる。「きみにはまだむずかしいよ」(私にだってむずかしい)と言ったが、自分のだと言いはるのももっともで、ちびさんの工作の本と、表紙が似ている。「ピングーちゃん、ふふーん」としあわせそうに眺めていた。