クソリティ

金曜日、家庭科室で、そこにある古いミシンを見ていたら、さわってはいけないのにさわったとか、Fが息子にからんできたらしい。するとそこにいたオトちゃんが、Fのしつこさを見かねて、
「いいかげんにしろ、ポンコツ野郎」と言ったらしい。
するとFはきれて、オトちゃんの首を絞めようとしたらしい。

Fのことは先生に言ったほうがいいよと、言ったが、息子はそうせずにいる。先生に言う機会がないとかいろいろ言ってるが、まわりに味方してくれる友だちもいるので、そんなに切羽つまってないのと、話して、気にするなと言われたらばかみたいだし、もしFが叱られたとして、恨まれたら面倒だし…みたいなことなんだろうが。すぐに春休みだし、スルーしたいのだろう。

Fのあれこれのへ理屈を
「Fのクソリティ」
と息子が言うので、笑ってしまった。人の悪口は意地でも言わない主義の息子がそう言うし、温厚なオトちゃんがポンコツ野郎というくらいなので、最近のFの不安定さはよほどなのだろう。
幼なすぎる、というか、生き方がわかってないというか。たぶん自分でもどうしようもないんだろうが。
クソリティ、か。人としてのクォリティが落ちているようだよ、と。

息子は、小学校の頃から、こういう面倒なのの相手ばかりしてきているので、こんなもんかと、いたって冷静なんだけど。
アスペルガーの子の、すごくいいところでもあるんだけど、人間を判断するのに、自分の好き嫌いの感情を持ち込まない。好き嫌いの感情そのものが、自分ではっきり把握できないせいでもあるんだけど。なので、しばしば、ほかでは嫌われたり相手にされなかったりするような子が近づいてくる。それを拒まないが、でも、そのうち相手は増長してくる。こいつには何してもいいだろう、という感じになってくる。甘えてもいるのだが。
そしてアスペルガーの子は、へんに忍耐強かったりする。傷ついても痛めつけられても、どれだけでも我慢してしまう。
よくない関係になる。

ハサミの件といい、一抹の不安を感じるので、息子が自分で言わないなら、私が言いつけてやろう。