津島佑子さんの訃報

津島佑子さんの訃報に驚いている。ショックだ。

最初に読んだ本は何だったろう。大学生になった頃だ。それから読みふけった。思えば20代の頃、一番身近に感じていた作家だった。あのころ中上健次津島佑子を読んで、生きていた。私はとても頼りにしていた。なんというか、自分の心が呼吸できる場所を、この人たちがつくってくれていると感じていた。

もうながいこと、読んでいないが、本棚の奥から引っぱりだしてみた。持っていることも忘れていた本もたくさんあるし、内容を思い出せないのもあるけど、あれこれ生々しく蘇ってきて、なんか、こみあげてくる。
泣きそう。

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「寵児」「歓びの島」「水府」「黙市」「光の領分」この頃の短編が大好きだった。
そういえばトニ・モリスンやマッカラーズの小説も、ベルナノスの「新ムーシェット物語」も彼女のエッセイに誘われて読んだのだった。

あんなにも、小説を読むことが、切実に必要だった時代が、あったということ。
彼女の本に、どれだけ寄り添ってもらったか、励ましてもらったか、
かわりに語ってもらっているような気がしていたか。

感謝します。
合掌。