どっぽーん。

大雨。
水の底にいるみたい。
どしゃぶりのなか、畑ににんじん掘りに行く。きゅうりが一本、大きくなっていたけど、これは明日にしよう。

昨日、りくはプールに入った。どっぽーん。
火曜日の最初のプールの時間は「ぼくはまだ、こわいんだ」という理由で見学したんだが、見学して自分なりに見通しがたったらしい。昨日はプールに入ることができた。
午後、PTAで学校に行ったら、担任が教えてくれた。小さいので、深いところは首までつかってしまうが、こわがりもせず、逃げ出しもせず、みんなと一緒にいたらしい。

「はじめてのことが難しいですかね」と先生。
はじめてのことをこわがります。でも自分なりに見通しが立てば、取り組んでいけます。
「給食も食べたことのないものだと、食べられないと言います。まず一口だけ食べてごらん、と励まします。するとこないだはメロンを、食べられないと言っていたのに、おいしいと思ったみたいで食べましたよ」
はい、メロンがおいしかったと感激を知らせてくれましたが、思わず私、聞かないふりをしました。メロン安くないので。
給食のおかげで、だいぶん、食べられるものが増えてきた。

休み時間にひとりでいるということもなく、みんなに声をかけてもらって一緒に遊んでいるらしい。
よかったです。帰ってからは誰とも遊ばないので、せめて学校で遊んでほしい。

町内会長さん、療育センターの設立にも自閉症児の親の会で尽力した人で、いろいろ気にかけてくれる。公園でうちの子が遊んだ姿を見たことがないのを心配してくれるが、誘うと、「あー、ぼくはいいです」とか言って断るらしい。実はひとりで公園まで行けないのだ。通学班も毎朝、公園まで私が送っていく。そこからはみんなと行けるんだけどなあ。
こないだ、近所の6年生と2年生が家まで来て遊びに誘ってくれたときも、思わず逃げ出しているし、それからしばらくしてから、ようやく気持ちの準備ができたらしく、ぼく行く、って言うが、遅いよ、みんなもう行っちゃっていないよ。

でもまあ、隣の席の女の子には、大好きって言ってもらったし、行き帰りの道では、おじいさんおばあさんたちのアイドルだし、いい調子ではないかしら。

と思っていたら、3組の××番の男の子(名前をきいても、あーわかんない、と言うが、番号を聞くと、よそのクラスでも明快に答える。どうなっているんだろう)に、帰りのバスを待つ間、いつも歩道橋の下に連れ込まれて、きれいな石を探せとか、命令されるのがいやなのらしい。後ろからひっぱられたりもするらしい。

いやならいやと、自分で言いなさい。歩道橋の下に行きたくないなら行きたくないと自分で言いなさい。言わないとわからない。まわりの人たちは、きみが歩道橋の下が好きで、楽しんで遊んでいるとしか思わないよ。

たぶん。いやだなあ、と気づいたころには、もう連れこまれてしまっているんだろうな。

なんかな、そういうところがな、すごく自分に似ていて、ああたまらん、と思う。人の気持ちに気づくのも遅い。自分の気持ちに気づくのももっと遅い。
しょうがないか。

ともあれ、プールに入れたのは上出来。どっぽーん。