そりゃ ぼくらの心は

 調べごとをしていたら、ラッセル・アインシュタイン宣言に行きあたった。半世紀前(1955年)の核兵器反対決議。次のくだりはおぼえがある。バートランド・ラッセルの評伝を昔読んだとき、心に残った一節だ。
 「私たちは、人類として、人類に向かって訴える――あなたがたの人間性を心にとどめ、そしてその他のことを忘れよ、と。」
 
 レバノンの映像。停戦決議は実現するんだろうか。むしょうに、ジャック・ブレルを聴きたくなり、いまCDかけている。「泣く友を見る」はもっとも美しい歌のひとつだと思う。
 
「泣く友を見る(涙)」
 
そりゃ アイルランドには戦争があるし
音楽のない移民達の問題だってある
そりゃ すべての人間にやさしさが欠けているし
かのアメリカはもう存在しない
そりゃ 金には香りなんかないさ
でもそのせいで 君の鼻に昇ってくることもない
そりゃ みんな花を踏んで歩いたりするさ
だけど 泣く友を見ることだ
 
そりゃ ぼくたちは挫折ばかりだ
おまけに とどのつまりは死んでしまう
本体はとっくに頭を垂れてて
まだ立っているのに驚くくらいだ
そりゃ 女は不実なものさ
鳥たちはあっちこっちで虐殺されてる
そりゃ ぼくらの心は飛べる翼を失くしてるよ
だけど 泣く友を見ることだ
(以下略)