広島で死んだ人

私は見ていないのだが、「クローズアップ現代」で、国民健康保険の未払いで、保険証を取り上げられたために、病院に行けず、死亡した人の問題を取り上げていたという。NHKがいくつかの県を調査したところ、41人の死亡者のうち18人が広島だった。

安佐南区(となりの区だ)で昨年死亡した40代か50代の男性は、事業の失敗で多重債務を抱え、保険料が払えず取り上げられていた。重度の高血圧の持病があったのに、病院に行けず、市販の薬で我慢していて、数ヶ月後、高血圧が原因のくも膜下出血で死亡した、という。

広島市には、政令で、病気や多重債務の場合、特例で保険証が交付されるらしいのだが、むろん、男性はそんなことは知らない。私だって知らない。

とても他人ごとではない話だ。
20代の数年間、私もここ広島で、保険証なしに暮らしていた。月の収入が5万とか7万とかそれくらいだったから、家賃滞納してるし、電話はしじゅう止められているし、米が買えないから、パン屋で10円のパンの耳買ってきて食べているし、とても、年金とか保険とか払えないって。

保険証なしには、こわくて病院になんか行けない。ぎっくり腰に2回ほどなったときも、痛いの我慢しながら、じっと寝ていた。一週間か二週間くらい寝てたかな。一人暮らしだし、買い物も行けないので、寝たまま、黴臭いパンの耳かじってたわ。

番組を見ていたパパが言うには、亡くなった人はとても働きものだったと兄弟が言ってたって。とても静かに言っていて、ああ、人間は、あんまり悲しいと、もう怒らないのだ、と思ったそうだ。

だが、その話をしながら、パパはだんだん怒りはじめた。となりの区から選出されている県議のひとりは、パパの学生時代の先輩だか友人だか、なので、だから選挙のときは、その区に住んでいる知り合い(とか、知り合いの知り合いとか)にお願いしたりするわけだ。
「ワースト1だぞ。ワースト1。あのばか何やってんだ。役立たず。なんのために県議やってんだ」

とんだ八当たりだが、まあ、まっとうな怒りだと思う。