「死んだ女の子」

大阪から友人が来ていて、一緒に灯ろう流しを見に行った。
そういえば、ずいぶん長い間、広島にいるのに、灯ろう流しを見るのははじめてなのだった。
平和公園は、花見の頃のように人でごった返していた。花見なら、ビールの匂いがするが、昨日は線香の匂いがした。灯ろう流しの順番を待つ人の列が、長く長くつづいていた。

↓「死んだ女の子」トルコの詩人、ナジム・ヒクメットの詩。
3年前、被爆60年の8月5日の夜に、原爆ドーム前で、元ちとせ坂本龍一が、披露した曲。同日放送のNEWS23内で、放送された。そのときの映像。
そのとき、私たち原爆ドーム前まで行ったのだけれど、暑くて、まだ1歳半すぎだった子どもは泣くし、じっとしていないし、あたりは黒山の人だかりができるし、音響も、その場の聴衆にはかまってくれず、なんにも見えずなんにも聞こえず、これはテレビで見るのが正解だったなあ、と思いながら帰った。


「死んだ女の子」。学生のころ、「ひろしまの冬」というタイトルのお芝居を見たことがあって、そのなかで、ナジム・ヒクメットの詩が、別の旋律で歌われていた。舞台のあちらこちらで、在韓被爆者の亡霊たちが「ひろしまへかえりたい」と声をあげる、あれは、胸に刺さる芝居だった。