Tea Room「どーむ」 ──「HIROSHIMA1958」

映画「二十四時間の情事ヒロシマ・モナムール)」の女優、エマニュエル・リヴァが1958年に撮影でやってきた広島で撮った写真集。「HIROSHIMA1958」。すごくいい。30歳の彼女が、異国の貧しい路地をどんなふうに歩いたか、を思う。
私の生まれる前の写真。子どもの私には知らない土地の写真。私が広島に来たころにはもうすっかり変わっていて、風景に見おぼえのない写真。けれども、それでも知っているような錯覚をおぼえる。江波のあたり、込み入った路地の奥に何度も足を運んだ。在日韓国人被爆者の方の被爆体験を聞くために。三軒たずねた。路地を歩いた。きっとその記憶なのだ。
パヤタスの写真にも似ている気がする。貧しさというのは、似てしまうものかな。不思議な親しさの感触がある。

映画の舞台になっていた「どーむ」という喫茶店が、実在したのかどうか、私は映画を見たときから、とっても気になっていたのだけれど、それも判明した。実在したのでした。原爆ドームのまん前に。いざわかってしまうと、もっと謎であってほしかったような気もするんだけど。
映画では、店の外観は、実在の「どーむ」だけれど、内部と、窓からの夜景は、東京のセットで撮影されたらしい。

それにしても「どーむ」。
もし今、原爆ドームの前に店を出したとして「どーむ」と名づけられるか。ドームの前にTea Room「どーむ」。その単純さ、鈍さ、その凄さ。


パアララン・パンタオのブログ「クリスマス・パーティ2004」UP
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